プリンスのシンセサイザーを盗んだリック・ジェームス

最近知って面白かった話。リック・ジェームスの1980年のツアーに、まだ若き日のプリンスは前座として参加していた。アクの強いこの二人で上手くいくのか?と思ったらやはり険悪なムードになったようで(バックバンドのメンバー同士がリックを揶揄するようなちょっとした落書き?か何かをきっかけに軋轢が生じた……ということらしいけどこの辺り自動翻訳ではいまいちニュアンスが掴みきれない)その後リック・ジェームスは自伝やインタビューなどでたびたびプリンスについて「トレンチコートの下に女物の下着を履いてニューウェイブ・ロックを演奏して、ブーイングの嵐だった」「変態セックスの歌ばかり作ってる狂人」「マイク・パフォーマンスもリリックも俺のパクリ」と痛烈に罵倒しています。まあ、その後プリンスと大きく水を開けられた嫉妬もあると思いますが。

で、リック・ジェームスの代表曲”Super Freak”(MCハマーがサンプリングしたアレですね)のシンセは、このツアーの際に、プリンスが使っていたシンセを黙って拝借して……つまり盗んで、しかもプリンスが作った音色をそのまま弾いて録音した、という話。これを証言しているのがリックのバックバンドで、”Super Freak”収録のアルバム『Street Songs』にも参加しているヴォーカリストのティーナ・マリー。リック側の人間が言ってるのが信憑性ありますね。Discogsで調べると『Street Songs』で使われたシンセはThe Oberheim OB-Xで、プリンスもこの時期の自身のアルバムで使用しているので、恐らくコレでしょう。プリセットを保存できるような時代のものでもないので「プリンスが作った音色をそのまま使った」というのは、プリンスが鳴らしていたような音をマネしたという意味なのか、音色のメモみたいなものも盗んでいたのか(マメだ)いずれにせよ、言われてみれば確かに”Super Freak”のシンセはプリンスっぽい。

その後シンセは郵送にてプリンスに返却されたものの、メッセージカードには”Thanks,MF”の文字。My Friendの略ではなさそうですね~という。

話は冒頭に戻って、件のリックのツアーでプリンスが使っていたスタッフパスの画像が検索すると出てくるんですけど、役職の欄が自筆で”アーティスト/スター”前座なのに。まあ、この二人なら遅かれ早かれぶつかってたであろう気はしますね。

ちなみにプリンスがプロデュースしていたグループVanity 6のヴァニティことデニース・ウィリアムは、もともとプリンスより先にリック・ジェームスと知り合っていたようで、リックは「女性だけのコーラス・グループ、というアイディアも俺からのパクり」と主張していたそうです。リックのプロデュースした女性だけのグループはメアリー・ジェーン・ガールズ。

ラッパーのゴシップやビーフの話題ばかりヒートアップするの、端的にしんどい!無理!と言って、現実逃避するように、こうやって大昔の楽屋エピソード的なものを調べてるんですけど、結局これもゴシップじゃん、と自分に思わないでもないですが……まあ、自分が音楽を聴き始めたころはまだ、80年代って現在と地続きの感覚がありましたが、やはり段々普通にそういうのも薄れて来ましたね。プリンスとリック・ジェームスに至っては、両者とも亡くなり、もはや歴史の人物とすら感じます。

参考


https://pitchfork.com/features/from-the-pitchfork-review/9731-do-it-all-night-the-story-of-princes-dirty-mind/

https://faroutmagazine.co.uk/why-prince-and-rick-james-hated-each-other/

https://dangerousminds.net/comments/the_night_rick_james_almost_beat_up_prince

コメントを残す