ECD配信解禁

ECDがFINAL JUNKYからリリースしていたアルバム9タイトルが配信で解禁!持ってるものも多いですが、嬉しいですね。年々、ECDの残した音楽や言葉が自分の中でデカくなってゆくのを感じています。政治や社会、家族に対する思いなどももちろんそうなんですが、TR-808&TB-303によるラップ弾き語りアルバムとでも言うべき『Crystal Voyager』のような、とにかく自分の出来る範囲でなるべく自分の手でやってみる、という制作スタイルに心動かされます。そういう実作業的な、制作の環境が、思想信条と繋がってる感覚が大事と言いますか……。

ちなみに『The Record Covers』という本の中で、ECDの諸作のデザインに多く携わった石黒景太氏いわく『FINAL JUNKY』はThe Contortions『BUY』に影響を受けたとのこと。『自殺するよりマシ』のSuicideっぽさしかり、ECDのニューウェイブ/ポストパンクの影響をヒップホップに応用するセンスもまたタマラない所。

FKJに対するゴリラからの回答、Saxsquatch

SaxsquatchなるYouTuber?ミュージシャン?の動画が面白いです。ルーパーやDAWを使った、一人で全ての楽器を奏でて重ねていくタイプの演奏動画は、FKJ”Tadow”を始めひとつのジャンルとして非常に人気ですが(ドラム、ベース、リード、ボーカル……と、音楽というのはパートごとに分かれているという、当たり前の事実が、誰から見ても、何度見ても意外なくらい面白い、というのがあると思うのですが)、Saxsquatchを名乗るこのゴリラは、アメリカはノースキャロライナ州・チャペルヒルの森にてMIDIコントローラー、キーボード、ベース、そしてサックスを一人で演奏し、「One More Time(Daft Punk)」「Lean On(Major Lazer)」と言った名曲のカバーを次々に披露してくれます。

いずれもボトムの薄い、アタックの弱い音色が何とも癒される……。YouTubeもInstagramも一番古い投稿は昨年8月のもので、まだまだ今後の活躍が楽しみな存在です。

凹バナ(ヴォコーダーの話)

検索していたmixiのヴォコーダーコミュニティにぶち当たったんですが、ヴォコーダーのことを「凹」と表記していたので、それをタイトルにしました。

家にいる時間が必然的に長くなり、そうなるとまた新しい楽器や機材が欲しくなるが、給付金もいつ来るかわからんし、ここは堪えて既にある機材を今一度見直そう……ということで学生の頃から使ってるシンセサイザーKORG microKORG XL+を何の気なしに引っ張り出してきた。このシンセはボコーダー機能が付いてるんですけど、このボコーダーをふと使ってみたらかなり楽しくなってしまった。

ちなみにロボット・ヴォイスとしてよく混同されがちなのが、Daft Punk「One More Time」やPerfumeのヴォーカルなどはオートチューン、Bruno Mars「24K Magic」のイントロやパソコン音楽クラブ「Virtual TV」などで聴かれるヴォーカルはトークボックス(トーキングモジュレーター)と、それぞれヴォコーダーとは違う技術、エフェクトが使われています。それぞれ仕組みや用途がかなり違うんですが、一緒くたにされがちだし、たまに区別が付かない音源もあります。

microKORGを買った際に付いてきてたはずのグースネックマイク(チョウチンアンコウの提灯のように伸びたマイク)は紛失してしまったので、普通にSHURE SM58のマイクとポップガードを付けて発音してみた所……グースネックマイクで喋った時より、発音が明瞭に聴こえる!……気がする。で、海外のDTMフォーラムなどで検索してみたが、やはり普通にSM58でヴォコーダーを使ってる人が多いみたい。実際に使うとなると、グースネックマイクの方が配置的には便利だし、あと上記のYMOの動画のように、見た目のカッコ良さでインカムマイクも憧れますけどね。

ヴォコーダーの音作りはやはり「発音が聴き取れるかどうか」という所が大きいと思うのですが、なかなかまとまった情報に今の所出会えておりません。「YMOのONGAKU」などによれば、「TECHNOPOLIS」の録音の現場でも、「トキオ!」のパートは、「ト」はピッチベンドを下げた状態で発音し、上げながら「キォ」で、最後の「オ」は再び下げながら発声する、というような流れで録音したとか。あと「録音では伝わらないと思うけど、現場ではめちゃくちゃマイクに向かってでかい声で歌ってた」というのも、どこかで読んだ記憶が……。

Kraftwerkの「The Robots」の「ルルルゥオボッ(ツ)」という、過剰な巻き舌も、ドイツ語の発音を誇張しているのかと思っていたけど、どちらかというとヴォコーダーに乗せやすい声を追求した結果、ああなったのではないだろうか。子音の発音がキモ、というのはトークボックスも同じですね。

ということでヴォコーダーの練習として、電気グルーヴの「Shangri-La」をカバーしました。もともとJimi Tenorのリミックス・バージョンが好きでコピーしてたトラックがあったので、更にそれをグッとテンポを落として歌ってみました。テンポが遅い方が歌いやすいので……。

今後もちょくちょくヴォコーダーは使っていこうと思います。

サックスの出てくるニューウェイブは全部かっこいい

Umlaut // Soap

ベルリンのSameheadsなる小さなライブ・スペース/バーが、店に出演したり縁のある地元のバンドやアーティストの音楽を紹介するコンピレーション「Hooch!(2019)」に収録されていた1曲。Cosmo WiseとSam Bardsleyの2人から成るUmlaut、フラットなドラムマシンの鳴りに対して、金切り声っぽいサウンドではなく低域のまろやかなサックスとボーカルが折衷的で独特です。

Medium Medium // Hungry So Angry

Adrian Sherwoodの初期の仕事をまとめたコンピレーション「Sherwood At The Controls Volume 1: 1979-1984」の1曲目に収録されていて、結構この手のニューウェイブ~ポストパンク編集盤だと定番の曲のようですが、知りませんでした。ノッティンガムのパンク・ファンクバンドMedium Mediumの2枚目のシングルで、バンドはこの後1枚のスタジオアルバムを出した後、サックス兼ボーカル、中心人物のJohn Rees Lewisが脱退し、83年には解散したとか。PV冒頭で手前でミキサーを触ってるのが若かりし日のシャーウッドでしょうか。彼の手によるイントロのサックスにかかるエコーだけで、これ一発だけとしても、エヴァーグリーンなバンドサウンドではないでしょうか。

Blurt // Get

現在も活動している、ベルリンのバンド。60年代から詩人として、70年代末からアルトサックスとともにミュージシャンとしても活動するTed Miltonによるリーダー・バンドで、何でもクラプトンもその才能を認めていたとか……。どのアルバムも全編こんな感じです。

EGO-WRAPPIN’ // Nervous Breakdown(頂2014)

日本のバンドも、という事で……ニューウェイブとかポストパンクは前提として瞬間芸的なヘタウマ・チープを是とするマナーがあるので、今や熟練味も貫禄もたっぷりのEGO-WRAPPIN’をその流れで紹介するのもアレですけど、このライブでのアレンジはめちゃくちゃポストパンクじゃないでしょうか。ガラスを掻きむしるようなギターも最高!!!!

James Chance & The Contortions // Dish It Out

毎年、正月は襟を正してこれとかSuicideを聴きます。途中でアンプに繋いでないのに気付いたようなオルガンにぐっとくるんですが、この曲が収録されたコンピレーション『No New York』の参加バンドらが、プロデューサーのBrian Enoについて「イーノは大して何もしていなかった」と揶揄されていたというのを知って、納得しました(まあ一方で、例えばMarsの曲ではギターのクリックにエコーをかけて、それをトリガーにトラック全体にコンプレッサーをかけて曲に独特な空間を味付けした……みたいな細かいテクニックは随所にあるらしいですが)

他にもラッパーのECDが「神経衰弱」でスカスカのTR-808ビートの上でサックス吹いてるやつなんかも、チャルメラ的な哀愁があってカッコ良かったな。エスクィアのジェームス・チャンス特集本『NO WAVE』の中でECDが『ウヌボレではなく、自分の吹いているサックスも、ジェイムス・チャンスや安倍薫の吹いているサックスも区別がつかない。即興でサックスを吹くことは人間から個性を奪い去ってしまう。それは多分、望ましいことだと思う』と言うようなことを書いていたのが印象的です。

Ge’ Down E.P.について

「Ge’ Down E.P.」という作品をHIHATTからリリースしました。HIHATTはプロデューサー/DJのtofubeatsさんが運営しているレーベルで、ハウス系アーティストの新人発掘+in the blue shirtやdj newtownなど関西のプロデューサーやトーフ氏と縁のあるアーティストがリリースしていて、今年の始めにはリミックスアルバム「HIHATT REMIXES」でも私のやってるバンド・ピクニックディスコもリミキサーとして参加させていただきまして、その流れもあって今回こういう作品が。

私はある音楽のカタチと精神性を内面化する作業をなるべく「勉強」と言わず「マナー」と言いたいのですが、ハウスは勿論、昔から好きなジャンルというかスタイルで、以前から作ってはいたのですけど、ようやくそのマナーみたいなものが身に着いてきたかな……と思えるのが本当にこの1年くらいで、しかし何とて勉強ではないから合格通知も卒業証書もないので、こうやって人様の手を介して自分のあずかり知らぬ第三者の目にも入るようになる=社会に出るのをもってして「これにてマナーを身に着けました☑」と一段落打てた感が得られるのも、レーベルから出す喜びでしょう。トーフ氏には毎回感謝です。ダンス・ミュージックは流通してナンボですからね。と言って「多くの人が聴いてれば聴いてるほどエラい」というのでもなく、個人のボヤッとした妄想みたいなものが着の身着のままで何となく外の社会に出ちゃってる・そして何となく受け入れらてる、というのが理想的な状態であります。めちゃ極端な例ですけどJamal Mossとか。

ジャケットは今年の2月にDJ Apacheという地元の先輩(写真最右)が主催したパーティでDJした時、遊びに来ていた緑さんという知人に撮ってもらった写真を使いました。アートワークだと胸のDef Jamにモザイクがかかってるのは、バラエティ番組で提供に行くとき何故か出演者の着てる服のロゴにぼかしが入ってる(スポンサーの兼ね合いとかの都合なんでしょうか?)状態が不穏で好きなので、あれを意識しました。L.A. Club Resourceっぽくて気に入ってます。

Ge’ Down

Kerri Chandler率いるMadhouse Recordsの曲をよく聴いていて、かつ、ちょうど9月9日にちかんでRolandがドラムマシン定番名機TR-909をプッシュする例年のキャンペーンをやっていて、TR-909のキックとタムがハネる感じの、王道なハウスを作ろうと思って作りました。エレピのサンプリングに「Groove」というプリセット名のディレイ(Ableton Liveの)をかけ、タムのフレーズはSpliceのサンプルで、ハネ感が気持ちよくて気に入ってます。

S

最近はNC4KなどからリリースしているblackglassGと、ファンクやディスコの曲の情報をLINEでやり取りしている過程で、ワンループでひたすら引っ張る曲を作ろうと思い、こういうトラックに。声ネタはRoland TR-8Sのプリセット。プリセットって最高ですよね。楽器メーカーの方が知恵を絞って作った、応用が利く音の数々、バシバシ使わねば損ですよ。

Hi Baby

キックはTR-8Sで、ベースはKORG ELECTRIBE MXのPCM音源のベースで打ち込んだものをLive上で切り貼りしています。ズンベケ、ンペンペ♪ってなPCM音源のペラペラしたベースの音が昔から好きなので、このパターンで他にも作りたいですね。SRATMの「Hello Baby」がふと頭の中に出てきて、あのトラックの声ネタの感じカッコ良かったよな、でも今手元にCDないし配信もないし聴けないな……と思い、頭の中で想像しながらサンプリングして配置した声ネタです。(と言ってる内につい最近、SRATMも含めたテイ・トウワ初期ディスコグラフィーが配信で聴かれるようになりました。「HAPPY」のドラムしびれる~~!)